コンサルタントに求められるスキルとは

コンサルタントに求められるスキルとして、顧問先に関する業界知識や課題発見力、スケジュール管理能力や予算管理能力を総称する「プロジェクトマネジメント能力」や、顧問先の課題を正確に伝えるための資料作成能力が必須となります。高いプロジェクトマネジメント能力は、円滑なプロジェクト進行を助けるだけでなく、限られたリソースを活用して最大限の成果を上げるために役立ちます。

また、自身の思考を整理して論理的に振り返り、本当に方針が正しいのかを見極めるためには、「クリティカルシンキング」の考え方を備えておくことも重要です。クリティカルシンキングの考え方を身につけることで、コンサルティングの精度を高められるだけでなく、顧問先へ今後の方針を説明する際の説得力も高められます。

そこでこの記事では、コンサルタントに求められる3つのスキルの概要や、なぜこれらのスキルが必要とされているのか、分かりやすく解説します。

コンサルタントの必須スキル①：プロジェクトマネジメント能力

コンサルタントとして活躍するためには、プロジェクトマネジメント能力を身につけることが必要不可欠です。十分なプロジェクトマネジメント能力を備えているコンサルタントこそが、豊富な知識と的確なスケジュール管理、円滑なコミュニケーションによって、プロジェクトの安定的な舵取りを可能にし、企業の成長をサポートできます。

ここでは、プロジェクトマネジメント能力がどのような能力を表すのか、必要とされる理由、鍛え方などを解説します。

プロジェクトマネジメント能力とは

プロジェクトマネジメント能力は、複数の能力から構成されています。まずは、コンサルタントを行う企業の業界知識やスキルなどが挙げられます。企業が抱えている課題を正確に洗い出して解決へ導くためには、業界の詳しい知識を持ち、問題の原因を深い部分まで掘り下げる必要があるためです。

また、スケジュール管理能力や予算管理能力も、不可欠なプロジェクトマネジメント能力の一つです。コンサルティングを成功させるためには、明確なスケジュールを区切って計画的にプロジェクトを進行し、限られた予算の中で最大限の成果を上げなければなりません。

さらに、顧問先と円滑にプロジェクトを進行するためのコミュニケーション能力や、顧客が抱えている問題を発見し解決するための課題解決力も求められます。

プロジェクトマネジメント能力が必要な理由

コンサルタントには、単に課題を発見する力だけが求められるのではなく、発見した課題を解決するまでの工程において、いくつかの複合的な能力が必要となります。

コンサルタントとして高い成果を上げるためには、顧客の問題を正確に理解して解決に導くための道筋を立て、限られた時間と予算を最大限に活用しなければなりません。そのためには、顧問先の経営層だけでなく、現場で働く従業員と密にコミュニケーションを取り、協力を仰ぐ場面も出てくるでしょう。

このような背景から、コンサルタントはプロジェクトマネジメント能力を身につけておくことが必要です。

プロジェクトマネジメント能力の鍛え方

プロマネは様々なスキルを合わせて発揮する必要があります。

その為、多くのスキルを磨く必要がありますが、とりわけプロマネ能力を伸ばす上で重要なスキルは、次の4つに収斂されると考えられます。

①達成すべき目的、アプローチ、実現性を検討する為の論点設計力

②不確定要素を確定要素に変える為の構造化力・仮説思考力

③価値提供相手とゴールを合意する力

④先見性を身に着け、リスクを想定した指示、コミュニケーションを行う力

始めは難しくとも、これらのスキルを発揮しPMとしてのパフォーマンスを振り返り、成功したやり方に再現性を持たせ、失敗したやり方を改善する事で、プロマネ能力を着実に磨いていく事が可能です。 

コンサルタントの必須スキル②：資料作成能力

コンサルタントが身につけておきたい必須スキルは、プロジェクトマネジメント能力だけではありません。顧問先の企業の現状を正しく理解してもらい、今後、問題をどのように解決していくのかを説明するためには、コンサルタント自身が分かりやすい資料を作成してプレゼンする必要があります。

そのため、コンサルタントは高い資料作成能力を備えることも大切です。ここでは、資料作成能力の具体的な内容や、必要な理由を解説します。

資料作成能力とは

コンサルタントにとっての「資料」とは、ヒアリングによって把握した顧問先の現状を整理して、今後の方針を伝えるためのプレゼン資料のことを指します。

顧問先は、自社の課題をある程度把握している場合もありますが、どのような問題を抱えていて、どういった方針で解決していけば良いのかをほとんど理解していない場合も多々あるでしょう。そのような場面において、コンサルタントが顧問先の現状を文字や図で整理して正確に伝えることは、同じ方向を向いて顧問先の課題を解決していく上で欠かせません。

つまり、コンサルタントに求められる資料作成能力とは、「顧問先の現状を正しく理解し、それを分かりやすく伝えるための能力」であると言い換えられます。

資料作成能力が必要な理由

資料作成能力が十分に備わっていなければ、顧問先がどのような課題を抱えているのかをコンサルタント自身が把握していても、顧問先に正確に伝えることができません。そのため、今後の改善プロジェクトに十分な理解を得ることが難しくなります。

顧問先が自社の現状を客観視して、改善の必要性を理解しなければ、コンサルタントと足並みをそろえて今後のプロジェクトを進めていくことはできません。こうした理由から、コンサルタントは高い資料作成能力を身につけることが重要です。

資料作成能力の鍛え方

資料作成においては、読み手が分かり易い資料を作成する事が重要であり、その力は次の3つの要素を磨き、伸ばすことで実現する事が可能です。

①伝えたい事（主張）を明確化し主張を根拠付ける為の情報を整理して体系化する構造化力

②PERP等のフレームワークを用い相手の納得を促すストーリーの作成力

③伝えたい事を図で表現して読み手が直感的に理解出来るように工夫する図示力

そして、これらの力はアウトプットとインプットのバランスを保つことで、効果的に伸ばすことが可能であり、例えば、他者の分かりやすい資料をインプットし、自分が資料を作成する際に踏襲してアウトプットする事を繰り返すことで着実に磨いていく事が可能です。 

コンサルタントの必須スキル③：思考力

コンサルタントはクライアント企業の課題を解決する役割を担いますが、その価値の大半は思考力によって生まれます。ここでは思考力をクリティカルシンキング、構造化思考、仮説思考に分けて説明します。

クリティカルシンキング

コンサルタントが顧問先とのプロジェクトを円滑に進めるためには、クリティカルシンキングについて押さえておくことも大切です。コンサルタントには主体的に意見の発信や提案を行うことが求められますが、主観的になりすぎると本来の目的からずれたコンサルティングを行ってしまう場合があります。

クリティカルシンキングを意識してコンサルティングを行うことで、自身の思考や言動を客観的に振り返り、より正確な意思決定につなげられます。

クリティカルシンキングとは、「ある考え方が本当に正しいのか」を立ち止まって振り返る思考方式のことです。自身の思考や他社の主張を構造的に分析し、その結論が本当に正しいのかを振り返ることで、より精度の高いコンサルティングを行えます。

クリティカルシンキングを意識すると、結論に対して明確な理由付けを行うことができ、顧問先への説得力も高められます。

例えば、「最近、コールセンターのクレームが増加している。オペレーターの品質を高めるために、教育研修を実施してはどうか」という意見が持ち上がったとします。このとき、「クレームは本当に以前と比べて増加しているのか」「解決策は教育研修で正しいのか」など、個々の要素を検討することは、クリティカルシンキングの事例の一つです。

クリティカルシンキングが必要な理由として、ビジネスの移り変わりが激化していることが挙げられます。

人間は過去の成功体験に頼りがちであり、古いやり方を踏襲し続けようとする傾向があります。しかし、変化の激しいビジネスの世界で古いやり方を捨てられずにいると、やがて期待どおりの成果が出なくなることも考えられます。

クリティカルシンキングによって「本当にこの考え方は正しいのか？」を吟味し、今、本当に実行しなければならない施策を見極めることが大切です。

主にスキル面で3つ、マインド面で2つの力を伸ばし実践する事で、クリティカルシンキングを磨く事が出来ます。

スキル面では、①高い視座、低い視座を使い分け、目指すものを論理的に定義する力を伸ばすこと、②物事の本質に迫る為の鳥瞰・凝視力を伸ばすこと、③問題を整理する力・現状とあるべき姿のギャップを埋める施策を挙げる力を伸ばすことが必要です。

一方、マインド面では、①考えることを途中で諦めず、自分の言葉で結論を出すマインドを持つこと、②自分だけの考えの枠から飛び出し、他者とディスカッションをことが必要です。これらを意識しながらクリティカルシンキングを繰り返すことで、その力を伸ばしていく事が可能です。

構造化思考

構造化思考とは、ある物事をTopに、「構成要素」と「構成要素間の関係」を体系立てて整理する思考法です。

例えば、売上増加をTopに置いた際は、顧客数の増加と顧客単価の増加が下層に分解して配置されます。このように、物事を構造化する思考は、Top事象を主張するロジックをシンプル且つ論理的に構築する事を実現し、結果として他者への説得力を飛躍的に高める事が出来る思考法なのです。

 構造化思考の磨き方は3つのポイントがあり、①構造化のステップを理解する事、②フレームワークを使うなどして分解の観点を増やし多角的に物事を見る力を養う事、③要素同士の繋がり（因果関係・包含関係）を発見する力を養う事です。

そして、3つのポイントを、構造化思考の使い所である、課題解決の戦略立てる時、資料を作成する時、コミュニケーション時に実践する事で、定着させることで構造化思考を磨く事が出来るのです。

仮説化思考

仮説思考とは、今持っている情報を使って論点に対する「仮の答え」を設定し、仮説検証を必要最小限の情報収集、分析作業を進めていく思考法です。仮説思考を行う事によって、論点に対する答えを迅速に出す、不要な情報を収集する時間を削減し重要な物事を思考する時間を創出する、クライアント・上司からの指示を待つことなく能動的に行動し結果を出す事が出来ます。 

仮説思考の磨き方は、情報が多い方が正しい結論を出せるという網羅思考を捨てる事が最優先事項です。

その後は、仮説を思いつく切り口や知識を増やし、深化させる力を養っていきます。その際最も重要な事が、仮説思考の学び始めは抽象度が高く検証が出来ない答えや、見当違いの答えを出してしまうことが多い中で、指摘を恐れず仮説を他者に当て、仮説を否定される事があれば新たな仮説にアップデートする事です。そうする事で、一足飛びで正しい仮説に近づくことが出来る様になります。 

まとめ

プロジェクトマネジメント能力や資料作成能力、クリティカルシンキングの考え方などを身につけることで、幅広く活躍できるコンサルタントになれるでしょう。

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