コンサルティングファームとは?仕事内容や年収・種類・向いてる人の特徴を解説
コンサルティング業界の市場規模は年々拡大しており、日本のみならず世界でも同じ傾向が見られます。
また、中途採用を積極的に行うコンサルティングファームが増えており、自身の経験やスキルを活かしてアグレッシブに働きたいという方も少なくありません。
そこで本記事では、コンサルティングファームの仕事内容や年収、企業風土について詳しく解説します。
自分がコンサルタントとしての適性があるか気になる方は、向いている人の特徴やスキルについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
コンサルティングファームとは?
コンサルティングファームとは、クライアント企業の課題解決に向けてサポートを行う、プロフェッショナル集団です。
専門性の高い知識が必要であり、コミュニケーション能力や論理的思考能力など、個人としての高いスキルも求められる、やりがいのある仕事です。
世界で初めてのコンサルティングファームは、1886年にアメリカで誕生しました。
当時は経営戦略を主としたコンサルティングが主流であり、時代とともに人事・IT・財務・事業再生など、コンサルティングファームが携わる領域が多様化しています。
また、コンサルティングファームは日系と外資系で特徴が異なります。
【日系と外資系:コンサルティングファームの違い】
企業風土 | コンサルティングスタイル | 給与 | |
日系 | 年功序列 | 顧問型 | やや低め |
外資系 | 成果主義 | プロジェクト型 | 比較的高め |
外資系コンサルティングファームは「Up or Out(昇進するか、さもなくば退職するか)」という企業風土が特徴的で、求められるレベルは高いですが、給与や昇進に分かりやすく反映されるため、やりがいがあるでしょう。
日系コンサルティングファームは年功序列制度を採用している場合が多いですが、その分人材育成に力を入れており、未経験でも転職しやすい環境が整備されています。
コンサルティングファームの種類は7つ!
コンサルティングファームは時代とともに扱う領域が増え、現在ではファームによって得意とする分野が異なります。
仕事内容が多様化していることから、扱う領域が重複する場合も多く、コンサルティングファームの種類や仕事内容について、曖昧なイメージを持つ方は少なくありません。
そこで本章では、コンサルティングファームの種類について、大きく7つに分けて紹介します。
- 総合系コンサルティングファーム
- 戦略系コンサルティングファーム
- 人事・組織コンサルティングファーム
- 監査法人系コンサルティングファーム
- 財務・FAS系コンサルティングファーム
- シンクタンク系コンサルティングファーム
- IT系コンサルティングファーム
コンサルタントとして、自分が得意な分野で活躍したいと考えている方は、ぜひご参考ください。
総合系コンサルティングファーム
経営戦略・業務改善・システム導入や実行など、上流から下流まで、クライアント企業全体の経営課題の解決をコンサルティングしています。
代表的な総合系コンサルティングファームは以下の通りです。
【総合系コンサルティングファーム 一例】
- アクセンチュア
- デロイト・トーマツ・コンサルティング
- ベイカレント・コンサルティング
- アビーム・コンサルティング
携わる領域が幅広いため、コンサルタントとしての総合力やバランスを高めたい方におすすめです。
戦略系コンサルティングファーム
戦略コンサルティングでは、事業戦略の立案・新規事業の立ち上げ・中長期の成長戦略・マーケティング戦略・M&Aなどを行います。
プロジェクトによって、携わる領域が変化するのが特徴的です。
代表的な戦略系コンサルティングファームは以下の通りです。
【戦略系コンサルティングファーム 一例】
- マッキンゼーアンドカンパニー
- ボストンコンサルティンググループ
- ベインアンドカンパニー
- A.T.カーニー
クライアント企業の経営層に関わることから、会計や人事といった専門的な分野を担当する場合もあります。
人事・組織系コンサルティングファーム
クライアント企業の組織体制・人事制度の見直しや、人事戦略の策定・構築・導入を主に行います。
【人事・組織系コンサルティングファーム 一例】
- マーサージャパン
- タワーズワトソン
- エーオンヒューイットジャパン
- コーンフェリーヘイグループ
外資系ファームが有名ですが、日本企業の風土を理解した日系コンサルティングファームも存在し、大手国内企業を中心に活躍しています。
監査法人系コンサルティングファーム
監査はもちろんのこと、マネジメントやITに関するセキュリティアドバイスも行っています。
代表的な監査法人系コンサルティングファームは以下の通りです。
【監査法人系コンサルティングファーム 一例】
- 監査法人トーマツ
- PwCあらた監査法人
- 新日本監査法人
- あずさ監査法人 など
時代やクライアントのニーズに合わせて、サービス内容が変化しており、IPOから派生するコンサルティングが増え、グローバルプロジェクトも手掛けています。
財務・FAS系コンサルティングファーム
投資を行うにあたっての、投資先の調査や評価、リスク調査などを行います。
M&A関連のコンサルティングに関しては、国際間取引が増えてきており、FAS系コンサルティングファームが活躍しています。
代表的な財務・FAS系コンサルティングファームは以下の通りです。
【財務・FAS系コンサルティングファーム 一例】
- デロイト・トーマツ・ファイナンシャル・アドバイザリー
- PwCアドバイザリー
- KPMG FAS
- EY FAS など
財務に特化したコンサルティングを行うのが、一番大きな特徴です。
シンクタンク系コンサルティングファーム
民間企業・官公庁を対象としたコンサルティングを行っており、政治的・社会的・経済的問題に焦点を当て情報を分析し、専門知識や研究結果に基づいた提言を行います。
代表的なシンクタンク系コンサルティングファームは以下の通りです。
【シンクタンク系コンサルティングファーム 一例】
- 野村総合研究所
- 三菱総合研究所
- NTTデータ経営研究所
- 日本総合研究所 など
依頼時に調査テーマや分野がすでに明確化されているため、業務の大半が研究や分析に費やされます。
政府や金融機関から発表される調査報告書の作成は、シンクタンクが参画していることが多いです。
IT系コンサルティングファーム
ITコンサルティングファームでは、IT技術を駆使した業務改善に取り組みます。
具体的には、EPRシステムの構築や、システム導入の検討・提案・実行などを行います。
代表的なIT系コンサルティングファームは以下の通りです。
【IT系コンサルティングファーム 一例】
・ガートナージャパン
・フューチャーアーキテクト
・ウルシステムズ
・ケンブリッジテクノロジーパートナーズ など
IT系コンサルティングファームが携わる領域は幅広く、一部は他ファームと重複する仕事内容もあります。
ファームによって性格や得意分野があるので、コンサルティングファームへの転職を考えている方は、自分の得意分野や能力とマッチした職場を見つけてみてください。
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コンサルティングファームの仕事内容と年収
コンサルティングファームの仕事は、要求されるレベルが高いことから、年収も比較的高めです。
そこで本章では、コンサルティングファームの仕事内容と年収について、詳しく解説します。
- コンサルティングファームの仕事内容
- コンサルティングファームの年収
年収の高いコンサルタントへの転職や、キャリア設計を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
コンサルティングファームの仕事内容
コンサルティングファームの仕事は、クライアント企業の課題解決に向けてサポートをする仕事です。
日系であれば、1人のコンサルタントが同時に複数のクライアントと、コンサルティング契約を結びます。
外資系であれば、1クライアントに対して3〜4人程度のチームを組み、契約期間中は毎日1つのプロジェクトに取り組みます。
そのため、クライアント企業に常駐するケースが多いです。
上記の通り、日系と外資系ではコンサルティングスタイルが異なりますが、コンサルティング業務の流れは概ね同じです。
【コンサルティングの流れ】
- クライアント企業へのヒアリング、市場調査などの情報収集
- 収集した膨大な情報の整理と分析、課題発見
- 課題解決に向けた戦略(改善策)の立案、提案と実行
- 評価、さらなる改善策の提案
このように細かくPDCAサイクルを回し、クライアントと一緒に課題解決に取り組みます。
加えて、円滑なコンサルティングを行うためには、コンサルタント自身のコミュニケーション能力や、ハイレベルな論理的思考能力も重要です。
関わる相手は経営層だけでなく、時には現場スタッフと密なコミュニケーションをとる場合もあるので、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。
コンサルティングファームの年収
コンサルティングファームの年収は、ファームによって多少異なりますが、大体の目安は以下の通りです。
【コンサルティングファームの年収目安】
役職 | 年齢 | 経験年数 | 年収 |
アナリスト(アソシエイト) | 22〜28歳 | 0〜3年 | 400〜800万円 |
コンサルタント | 25〜35歳 | 3〜5年 | 600〜1,300万円 |
マネージャー | 28歳以上 | 3年以上 | 1,000〜2,000万円 |
プリンシパル(ディレクター) | 30歳以上 | 5年以上 | 1,200〜2,500万円 |
パートナー | 35歳以上 | 10年以上 | 2,500万円以上 |
外資系コンサルティングファームであれば、実績次第でスピード昇給・昇進が叶えられます。
その分、年収が上がるにつれて高度なスキルや経験が必要とされ、大きな責任も伴います。
フリーランスコンサルタントは年収がアップしやすい
フリーランスコンサルタントの場合、コンサルティングファーム所属時と年収を比較すると、1.2〜2倍程度アップすると言われています。
ただし、会社員の平均給与と比較すると高額なため、不景気に陥った場合、切られやすい面もあります。
また、そもそも案件を獲得できなければ収入は0円なので、営業活動も重要です。
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コンサルティングファームに向いている人の特徴3つ
本章ではコンサルタントに向いている人の3つの特徴について解説します。
コンサルティングファームへの転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- コミュニケーション能力が高い人
- 学習意欲・向上心が強い人
- 論理的思考能力が高い人
コンサルタントにとって、ほぼ必須と言えるスキルなので、適性があるかこの機会にチェックしてみてください。
コミュニケーション能力が高い人
コンサルティングファームへの転職を考える場合、様々な役職や立場の人と円滑な人間関係を築くスキルが必要不可欠です。
また、改善策の提案や実行において、時には社内から反発を受ける可能性もあります。
日頃から相手の話に耳を傾け、相手の立場になって、分かりやすく話せる力がある人は、クライアントから信頼してもらいやすくなるでしょう。
高いコミュニケーション能力は、分野を問わず役に立つので、今後のキャリアを広げることにもつながります。
学習意欲・向上心が強い人
コンサルティングファームの仕事は、クライアントの要求水準が高く、プロジェクトの背景で動く資金は数千万〜数億円に上るケースも多々あり、責任重大です。
クライアントにとっての最適解を導き出すために、日頃から知識のアップデートに時間を使い、様々な視点で課題解決できる力を身につけることが求められます。
また、プライベートの時間であっても、自分が必要と思えば積極的に業務に時間を投下できる積極性や向上心がある方は、コンサルタントに向いていると言えるでしょう。
コンサルティングでは、クライアントの課題を発見・解決に向けて、市場調査や関係各所から情報収集を行います。
集めた膨大な情報を整理・分析するには、高い論理的思考能力が必要であり、仮説を立てる際にも重要なスキルです。
また、筋道の通った説得力のある提案ができなければ、クライアントに納得してもらえません。
コンサルティングファームへの就職・転職を考えるのであれば、高い論理的思考能力は欠かせないスキルと言えます。
コンサルティングファーム出身者のキャリアは?
本章では、コンサルティングファームの出身者のキャリアパスについて解説します。
所属しているコンサルティングファームで昇進を選び続けるコンサルタントは、比較的少なく、様々な業界や職業にチャレンジする方が多い印象です。
そこでコンサルティングファーム出身者で、よく見受けられるセカンドキャリアについて4つまとめました。
- 他のコンサルティングファームへ転職
- 事業会社へ転職
- ベンチャー企業の幹部クラスへ転職
- 独立・企業
コンサルタントとしてのキャリアパスや、スキルアップを目指している方は、ぜひご参考ください。
他のコンサルティングファームへ転職
他のコンサルティングファームへ転職を考える場合は、自身のキャリア形成につながるかを意識して転職することがおすすめです。
近年は、コンサルティング市場の拡大で、様々なコンサルティングファームが組織の規模を拡大しており、即戦力として実力のあるコンサルタントを求めています。
所属中のファームよりも年収や役職がアップするケースも十分にあり、自身の市場価値を高めるために他分野のコンサルティングファームに転職する方もいらっしゃいます。
事業会社へ転職
事業会社は、コンサルティングファームにとってのクライアントにあたる存在です。
近年は、コンサルティングファームから外資系企業や大手日系企業へ転職し、直接事業会社に入って新規事業や事業戦略を推進することも選択肢の一つになっています。
外資系企業は、外資系コンサルティングファーム同様に、成果主義を重視した社風でありファームに比べて安定性があることから人気が高いです。
日系企業の場合、給与や働き方などの安定性を求めて転職する方が多いです。
ベンチャー企業の幹部クラスへ転職
ベンチャー企業は、その市場において勝ち続ける体制を整える必要があり、経営や戦略に強いコンサルタントを欲しています。
そのため、メガベンチャーであれば高い報酬で幹部クラスへ採用されるケースもあります。
大手事業会社と比べると、報酬が若干減る可能性が大きいですが、コンサルティングファームで培った知識や実力をフルコミットできるのは大きな魅力と言えるでしょう。
独立・起業
コンサルティングファームでマネージャーになるタイミングで、キャリアを見直す方が多く、独立・起業を選ぶ方も多数いらっしゃいます。
コンサルティングファーム出身者は、高い課題解決能力や経営に関する専門知識を備えているため、独立や起業において有利に働く場合が多いです。
また、フリーランスのコンサルタントとして活躍する方も多く、ライフスタイルに合わせた自由な働き方ができることが、大きなメリットになっています。
コンサルティングファームについてよくある質問
本章では、コンサルティングファームへの転職・就職を考えている方からよくある質問について、3つ解説します。
- コンサルティングファームの職位が知りたい
- コンサルティングファームのBIG4とは?
- コンサルティングファームは激務って本当?
優秀な人材が多い業界だからこそ、勝手なイメージが先行する方も多いのが現状です。
ぜひ紹介する内容を参考に、コンサルタント業界について知見を深めてみてください。
コンサルティングファームの職位が知りたい
コンサルティングファームの役職は、大きく5つに分けられます。
以下の表に、役職名と仕事内容についてまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
【コンサルティングファームの役職と仕事内容】
役職 | 仕事内容 |
アソシエイト(アナリスト) | ・資料作成、情報収集、プレゼンテーション準備など
・コンサルタントの指示に従って動く ・新卒採用者や業界未経験の転職者が多い |
コンサルタント(シニアコンサルタント) | ・直属のアナリストがいない場合、自分で資料作成、情報収集、プレゼンテーション準備などを行う
・課題解決に向けた成果物の作成、仮説の構築、クライアントへのヒアリング ・プロジェクト管理、システム開発 ・小規模のプロジェクトではリーダーを務める |
マネージャー(シニアマネージャー) | ・プロジェクトメンバーのマネジメント
・成果物の品質や進捗チェック ・予算管理、リスクマネジメント ・上位職者との交渉、クライアントとの関係構築 ・部下の育成 |
プリンシパル(ディレクター) | ・新規・継続案件の獲得
・クライアントとの関係構築 ・人材育成、知財開発 |
パートナー | ・新規・継続案件の獲得
・政財界へのパイプ役 ・コンサルティングファームの経営 |
役職が上がるにつれ、仕事の難易度が上がります。
なお、コンサルティングファームによって、役職の呼び名や位置付けが異なるので、あくまで参考程度にご活用ください。
コンサルティングファームのBIG4とは?
コンサルティング業界において、世界規模のネットワークとコンサルティングサービスを提供するファームを、BIG4と呼んでいます。
【コンサルBIG4】
- デロイト・トーマツ・コンサルティング
- PwCコンサルティング(PwCアドバイザリー)
- KPMGコンサルティング
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
上記のコンサルティングファームは、巨大な会計事務所として、クライアント企業の財務や会計の監査を行っています。
BIG4は、1990年代の企業の海外進出や、戦略的な組織改革で存在感が顕著になりました。
ただ、2002年の法改正で、会計事務所がコンサルティングを行うことが禁止になり、再編を余儀なくされました。
しかし、戦略的に中小のコンサルティングファームを買収することで、自社グループ内にコンサルティング部門を設け、現在も巨大なコンサルティングファームとしてその名を馳せています。
コンサルティングファームは激務って本当?
外資系コンサルティングファームは、「Up or Out(昇進するか、さもなくば去るか)」という社風なため、ハードワークのイメージを持つ方も多いです。
実際のところ、コンサルタントの仕事は企業が抱える課題解決のサポートがメインなので、要求されるレベルも高くなりがちです。
プロジェクトの結果が全てなので、プライベートの時間であっても積極的に仕事に時間を投下できるタフさを持っていなければ、いずれ自分が苦しくなる可能性があります。
とはいえ、コンサルティング業界は拡大し続けており、コンサルタントの需要は増えているので、就職・転職先として人気の高い職業であることは間違いないでしょう。
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スポット・週1日・週3日・フル稼働など、希望に合った条件から気になる案件を選べるので、興味のある方はぜひご活用ください。
まとめ
本記事ではコンサルティングファームの種類や仕事内容について解説しました。
コンサルティングファームによって得意とする分野は異なり、自分の得意分野とマッチしたファームを選ぶことで、アグレッシブに活躍できる可能性があります。
また、コンサルタントの仕事内容は多岐にわたり、専門知識だけでなく、高いコミュニケーションスキルなどが求められます。
プロフェッショナルな職業なので、セカンドキャリアを探す際は、他業界から声がかかることが多く、上場企業・ファンド・メガベンチャー・スタートアップ企業など、転職先は様々です。
また、コンサルタントとしての経験や実績を活かして、独立する方が多いのも特徴です。
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記事監修者の紹介
アメリカの大学を卒業後、株式会社NTTデータに入社。
コンサルティングファームへ転職しデロイトトーマツコンサルティング・楽天での事業開発を経て、取締役COOとして飲食店関連の会社を立ち上げ。
その後、コロニー株式会社を創業。