コンサルタントの種類ごとの案件の違いは?戦略・総合・ビジネスコンサルの特徴と対策

コンサルタントの案件は戦略系、総合系、IT系など多岐にわたり、それぞれ求められるスキルや働き方が大きく異なります。案件の種類を理解することで、自分に最適なキャリアを選択できるでしょう。本記事では各コンサル案件の特徴と対策を詳しく解説します。

コンサルタントの種類と案件の全体像

まずはコンサルタントの種類と案件の全体像を解説します。

コンサルタントの主な種類

コンサルティングファームは、取り扱う案件の特性に応じて戦略系、業務系、IT系の3つに大別されます。 戦略系は企業の経営・事業戦略やデジタル・IT戦略を策定する案件を担当し、2〜3か月スパンで競争優位に資する戦略を立案します。業務系は営業・マーケティング、生産・調達、財務・会計など個別の業務オペレーション変革を行います。IT系は企業のデジタル戦略実現に必要なシステム構築やガバナンス整備を支援するのが特徴です。

案件の分類

戦略系案件には経営・事業戦略、組織・人事戦略、オペレーション戦略、デジタル戦略、IT戦略、戦略実行支援が含まれます。総合系は戦略立案から実行まで幅広くカバーし、営業・マーケティング変革、生産・調達改革、財務・会計改革、BPO、RPAなどを手がけます。 IT系案件はITガバナンス、パッケージ・クラウド導入、スクラッチ開発、ベンダーマネジメント、DX開発などが主要領域です。

案件の違いがキャリアや働き方に与える影響

短期プロジェクトでは高密度な作業が求められ、多種多様な課題や業界に迅速に対応するスキルを養えます。変化に柔軟に対応する能力や迅速な意思決定力が身につき、幅広い適応力を獲得できるでしょう。 長期プロジェクトでは特定の業界や分野における知識やスキルを着実に高められ、専門家として成長できます。プロジェクト期間の選択は自身のライフステージや働き方の志向性に応じて決めることが重要です。

戦略コンサルタントの案件の特徴と難しさ

戦略コンサルタントは企業の経営者や経営陣と協力し、企業の課題解決を行う専門職です。経営課題の特定・分析、新規事業案の提案、実行支援まで幅広く対応します。

戦略コンサル(戦コン)の案件内容

戦略系案件は企業の経営・事業戦略やデジタル・IT戦略を策定する案件が中心となります。市場分析や競合分析などの外部環境分析と、社内事情・経緯・組織風土を踏まえた内部環境分析を行い、競争優位に資する戦略を立案します。 新規事業におけるM&A戦略では、すでにその事業を手がけている企業や必要なリソースを有する企業への買収を通じて、スピーディーな事業立ち上げを支援します。

案件の難易度と求められるスキル

戦略コンサルタントには高度な分析能力、論理的思考力、プレゼンテーションスキルに加え、チームでの協働力が求められます。戦略立案能力、コミュニケーションスキル、専門性の高さ、ロジカルシンキング、プロジェクトマネジメントスキル、メンタルタフネス、英語力といったスキルが不可欠です。

戦コンが「難しい」と言われる理由

戦略コンサルタントへの転職における競争率は非常に高く、最難関といわわれる領域の一つです。有名なコンサルティングファームでは、応募者の合格率が数%になることもあるでしょう。 戦略コンサルは採用数が少なく少数精鋭であるため、少ない枠に多数の応募があるという構図になり、必然的に転職難易度は高くなります。

有名ファームの案件例

ボストンコンサルティンググループでは、テクノロジー企業の2桁成長持続のための戦略見直しや組織能力向上支援を行っています。世界的ビール会社の中期計画策定プロセス見直しでは、柔軟かつ強力な中期計画策定プロセスを導入し、ステークホルダーの約90%の満足度向上を実現しました。

戦略コンサルと総合コンサルの案件比較まとめ

戦略コンサルは「何をすべきか」の提案に焦点を当て、総合コンサルは「戦略立案から実行まで」をワンストップでサポートする点が最大の違いです。下表で違いをまとめました。
戦略コンサルタント 総合コンサルタント
案件内容 経営戦略
新規事業策定
M&A戦略
戦略立案
業務改善
IT導入
実行支援
アプローチ 短期間で集中的な課題分析
解決策提示
長期的な支援
現場密着型の実践的サポート
顧客層 企業のトップ層
大企業
グローバル企業
経営層から現場担当者まで幅広い
プロジェクト期間 2~3か月の短期集中型 実行フェーズを含む長期的支援
組織規模 比較的小規模
専門特化
大規模組織
多拠点展開

総合コンサルタントの案件の特徴と対策

総合コンサルは戦略立案から実行まで、企業の経営課題を包括的に解決できるファームです。提供するサービスも幅広く、戦略立案・組織改編、オペレーション改善など、さまざまな案件に対してコンサルティングを行います。

総合コンサル(総コン)の案件内容

総合コンサルの業務内容は多岐にわたり、経営戦略の立案、業務プロセスの改善、ITシステム導入や運用支援まで対応します。業務プロセス改善では、企業の業務全体を俯瞰し、効率性や生産性の向上、コスト削減を目指した改善策の提案と実行支援を行います。 また、人事・組織改革や財務・リスクマネジメントなど、幅広い領域で企業の成長を後押しします。

戦略コンサルとの案件比較

戦略コンサルは主に経営層との直接的なやり取りが多く、短期間で集中的に課題を解析し解決策を提示します。一方、総合コンサルは経営層から現場の担当者まで幅広く関わり、実行フェーズまで含めた長期的な支援が重視されます。現場に密着した実践的なサポートを提供し、クライアント企業と一緒に課題解決に取り組む点が大きな違いです。

総合コンサルの選考・対策ポイント

総合コンサルの選考では、幅広い業務分野に対応する能力が求められます。ケース面接やグループディスカッションでの多角的な思考力や柔軟性、コミュニケーション力が評価されます。 志望動機や自己PRでは「総合コンサルでしか成し得ないこと」を明確にアピールすることが大切です。選考は大学3年生の9月から12月にかけて行われるのが一般的ですが、一部企業では夏のインターンから選考が始まるため、早めの情報収集と準備が重要です。

大手総合コンサルの案件例

アクセンチュアでは、日系大手素材・エネルギー関連企業のデジタル経営基盤構築プロジェクトを400〜500人規模で実施しています。 ふくおかフィナンシャルグループでは、他業種提携によるエコシステム形成など新たなビジネスモデルをモバイルサービスで実現する支援を行いました。

アクセンチュアの「戦略」「ビジネス」コンサル案件の違い

アクセンチュアは伝統的なビジネス戦略コンサルティングサービスに加えて、デザインシンキングなどの最新手法を駆使しています。

アクセンチュア戦略部門の案件と特徴

アクセンチュアのストラテジーグループは、業界の垣根を超えた新市場の創造・業界再編といったイノベーションを起こし、企業や社会の未来を描きます。変革を完遂しきることで企業価値・業績を向上させ実インパクトを創出することを重視しています。 最新テクノロジー・顧客体験・業界の将来を熟知した戦略策定力が求められ、AIやデザイン・テクノロジー領域の専門家集団と部門の垣根を越えて協働しながら価値を創出できる戦略を策定・完遂します。

アクセンチュアビジネスコンサル部門の案件と特徴

アクセンチュアのビジネスコンサルティング本部では、多様なバックグラウンドと専門性を持った人材のコラボレーションにより、クライアントに最大限の価値を提供しています。 デジタル・テクノロジー領域に強みを持ち、グローバル大手コンサルティングファームとして多くのクライアントから高い評価を受けています。

両者の違いとキャリアアップ

アクセンチュアは、グローバルなビジネス戦略を支えるコンサルティング分野で長い歴史を持ち、個々のキャリア成長を促進するための支援が充実しています。多岐にわたる業種や幅広いプロジェクトに携わることで、専門知識やリーダーシップスキルが自然と培われます。 コンサルティング職では論理的思考力やデータ分析能力などが求められますが、その分成長できる場面が多いのが特徴です。

他部門との違い

アクセンチュアの提供するサービスは、ITサービスの提供にとどまらず、デジタル変革、クラウドソリューション、業務改善、データ解析など、幅広い分野に及んでいます。業界特化のソリューションを開発し、それらをクライアントのビジネスモデルに適応させるための専門知識を持つことが強みです。

ITコンサル・その他専門コンサルの案件

ここからは、ITコンサルとその他の専門コンサルの案件について紹介します。

ITコンサル案件

ITコンサルの代表的な案件で最も増えているのがシステム導入です。元々上流工程のみを担当していたファームも、今では下流までワンストップで引き受けるケースが増えています。 DX開発では業務のデジタル化、顧客体験のデジタル化、ビジネスのデジタル化を実現するためのシステム構築を行います。

その他専門コンサルの案件例

その他の専門コンサルの案件において、医療・福祉分野では、少子高齢化やコロナ禍など厳しい環境下で、コンサルタントが財務状況の分析や人員配置の最適化などの具体的な改善提案を行い、施設の持続可能性を高めるサポートを行います。 病院の経営改善による収益向上の事例では、経営分析プログラムを導入し、他病院との比較を行うことで収益の無駄を削減する具体的な改善策を提案しています。

MARCH出身者が狙うべきコンサル案件と対策

高度なIT知識や顧客折衝経験が求められるコンサルティングファームですが、旺盛な求人需要が追い風となっています。20代であれば「ポテンシャル採用」で、未経験者でも充分に転職可能です。

戦略コンサル・総合コンサルでの案件選択

MARCH出身者が戦略コンサルを目指す場合、35歳くらいまでであれば、個々のプロジェクトに対して責任を持つ「マネージャー」といった役職で、年収アップをしながらの転職も可能です。 総合コンサルでは幅広い業務分野に対応する能力が求められるため、多角的な思考力や柔軟性を身につけることが重要です。

ボストンコンサルティング等外資系に挑戦

外資系戦略コンサルでは、ケース面接やフィット面接と呼ばれる選考プロセスで、応募者の課題解決能力やコミュニケーション力が厳しく評価されます。これらを乗り越えるには、単なる知識以上の実践力やその場での柔軟な対応力が不可欠です。

MARCH出身者が案件獲得・選考突破するためのポイント

ケース面接の対策では、考え方として前提を押さえているか、MECEに取り組んでいるか、ボトルネックを特定できているか、施策は適切なものになっているかを意識しましょう。 振る舞いでは面接官とコミュニケーションを楽しめているか、素直に指摘を受け入れているかなどの事柄を意識することが重要です。若いうちに経験を積み、コンサルティングファームで自らを高めたうえで、事業会社などに役員クラスで転職する人も多数います。

コンサルタントの案件獲得ならExpertyがおすすめ

コンサルタントとして独立を考えている方や、より良い案件を探している方には、Expertyの活用がおすすめです。Expertyは経験豊富なコンサルタントと企業をマッチングする専門サービスで、戦略系から総合系まで幅広い案件を取り扱っています。 高単価案件も多数掲載されており、スキルや経験に最適な案件を見つけられるでしょう。登録は無料で、キャリア相談から案件紹介までサポートを受けられます。

まとめ

コンサルタントの案件は戦略系、総合系、IT系など多様な分野に分かれており、それぞれ異なる特徴と求められるスキルがあります。戦略コンサルは短期集中型で経営層との直接的なやり取りが多く、総合コンサルは長期的な実行支援まで含む包括的なサポートを提供します。

記事監修者の紹介

アメリカの大学を卒業後、株式会社NTTデータに入社。
コンサルティングファームへ転職しデロイトトーマツコンサルティング・楽天での事業開発を経て、取締役COOとして飲食店関連の会社を立ち上げ。
その後、コロニー株式会社を創業。