コンサルタントとシンクタンクの違いは?それぞれの役割や特徴・ビジネスモデルを解説

コンサルタントとシンクタンクの違いは?それぞれの役割や特徴・ビジネスモデルを解説

コンサルティング業界への転職や就職を目指す人の中には、シンクタンクというワードを見聞きした人もいるでしょう。

そもそも「シンクタンク」という言葉の意味がよく分からない方も多いです。

コンサルティングもシンクタンクも依頼元の課題を解決することに変わりありませんが、専門とする業界や性質が異なります。

そこで本記事では、そもそもシンクタンクが何を指す言葉なのか、という点からコンサルタントとシンクタンクの違いや、それぞれの役割、年収相場について解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

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そもそもシンクタンクとは?

そもそもシンクタンクとは?

シンクタンクは政府や民間企業などに対して、政治的・社会的・経済的問題に焦点を当て情報を分析し、その分野の専門知識や研究結果に基づいた提言を行う研究機関です。

国際政策・経済政策・環境問題・教育政策・地域開発など、幅広い分野で活動しています。

シンクタンクは19世紀後半から20世紀にかけて、イギリスやアメリカで創設された組織が元となっており、研究・分析結果をもとに政府に対して政策提言を行っていました。

そのため、非営利団体として活動している場合もあります。

現在は、政府系シンクタンクと民間系シンクタンクの2つに分かれており、シンクタンクで取り扱う領域はより広くなっています。

なお、民間系シンクタンクは大手金融機関やグループ事業会社から資金提供を受けて活動していることがほとんどです。

総合系コンサルティングと同じような内容を扱っており、コンサル業界からシンクタンクへ転職する方や、その逆のパターンも多く見受けられます。

コンサルタントとシンクタンクはどちらも専門スキルが問われるため、同じような組織と思われがちですが、ビジネスモデルや活動する分野が異なります。

そこで次の章では、コンサルタントとシンクタンクの違いについて詳しく解説します。

コンサルタントとシンクタンクの違いは5つ

コンサルタントとシンクタンクの違いは5つ

コンサルタントとシンクタンクは、どちらもクライアントの問題解決をサポートする仕事ですが、主要とする業務や分野が異なります。

そこで本章では、両者の大きな違いについて以下の5つを解説します。

  • クライアントの担当部門
  • コンサルテーマや分野
  • 求められるスキル
  • ビジネスモデル
  • 採用・評価制度

両者の違いを参考に「自分の適性によりフィットするのはどちらなのか?」照らし合わせ、就活や転職の参考にしてください。

クライアントの担当部門

コンサルタントのクライアントは、企業の代表取締役や役員が多いです。

コンサルタントは主に企業の経営課題を解決し、クライアントのビジネス目標や利益に焦点を当てています。

そのため、情報収集や戦略の提案・実行時に、経営層と密に関わることが必然的に多くなります。

一方でシンクタンクは、特定分野で活躍している部長やリーダークラスのクライアントが多いです。

シンクタンクは研究や分析に特化した組織なので、あらかじめ依頼テーマが明確化されており、その分野に詳しいリーダークラスの方が依頼者となります。

コンサルテーマや分野

コンサルタントの場合、「組織・業務体制の改革」「M&A戦略」など、依頼される調査テーマが抽象的であるケースがほとんどです。

そのため、情報収集をしつつ、クライアントと相談しながら戦略の策定・実行を行います。

一方でシンクタンクは、依頼時に調査テーマや分野がすでに明確化されているため、業務の大半が研究や分析に費やされます。

政府や金融機関から発表される調査報告書の作成は、シンクタンクが参画していることが多いです。

求められるスキル

コンサルタントは、クライアントと協力しながら企業の課題解決に取り組みます。

戦略の策定・提案時には、筋道を立てた提案を行い、クライアントに納得してもらうことが重要です。

時には現場従業員のヒアリングや新体制への対応のお願いも行うため、高いコミュニケーションスキルが求められます。

シンクタンクでは特定の分野での研究や調査を依頼されることから、専門知識やリサーチ力が求められます。

コンサルタントに比べると、より狭い範囲で情報集を行うため、精度の高いレポーティングができると高い評価も得られやすいでしょう。

ビジネスモデル

コンサルタントの売りは「コンサルタント自身の能力」です。

クライアントの課題解決に必要なコンサルタントの確保や、プロジェクト期間によって報酬やコストは変動します。

これを踏まえた上で、自身のスキルを活用してクライアント企業の課題解決に取り組むため、クライアントが望む結果を導き出さなければ評判も損ね、コンサルタント自身の利益も損ねてしまいます。

一方でシンクタンクは、すでに定義されたテーマについて高度な分析・研究を行い、まとめることが主な仕事なため、提供する「情報」がシンクタンクの商材と言えるでしょう。

シンクタンクでは案件1つに対して報酬が設定されるプロジェクト報酬型がほとんどなので、報酬制度もコンサルタントとの大きな違いのひとつです。

採用・評価制度

コンサルタントにおいては、高いコミュニケーション能力や論理的思考力、クライアントに納得してもらえる提案力を兼ね備えた人材が評価されやすいです。

コンサルティング業界が初めての方でも実績や経験が豊富であれば、コンサルタントとして採用されやすく、活躍の場も広がります。

実力主義な業界なので、積極性を持つことも重要です。

一方シンクタンクは、学術的な研究やレポート作成の経験がある人材が評価・採用されやすい傾向にあります。

大学や大学院の新卒採用に積極的で、勤続年数も長い人が多いです。

そのため、年功序列の色が強いのもシンクタンクの特徴と言えます。

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コンサルティングファームとシンクタンクの年収相場

コンサルティングファームとシンクタンクの年収相場

コンサルティングファームとシンクタンクは報酬制度も異なることから「年収にも差が出るのでは?」と考える人も多いです。

そこで本章では、両者の年収相場について以下の項目で解説します。

  • コンサルティングファームの年収相場
  • シンクタンクの年収相場

どちらもスキルや経験次第で年収が上がりやすい仕事です。

「自分の能力を発揮しやすい分野はどちらなのか?」適性や得意スキルと照らし合わせながら、参考にしてみてください。

コンサルティングファームの年収相場

コンサルティングファームに在籍しているコンサルタントの年収は400〜1,200万円で、スキルや役職によって変動します。

役職や経験ごとの平均年収は以下の通りです。

【コンサルティングファームの平均年収】

役職年齢経験年数年収相場業績賞与
アナリスト22〜28歳0〜3年400〜800万円固定給の20%
コンサルタント25〜35歳0〜6年900〜1,300万円固定給の20%
マネージャー28〜40歳2〜10年1,400〜2,000万円固定給の30%
プリンシパル32〜45歳5〜15年1,700〜2,500万円固定給の30%
パートナー35歳以上7年以上2,500万円以上業績次第

大手コンサルファームの場合、年収は1,000万円を超えることがほとんどで、役職や経験年数によっても大きく変動します。

さらに個人の業績に応じてインセンティブが発生するため、コンサルタントの能力次第で年収を上げることも可能です。

上記はファームに在籍しているコンサルタントの年収相場ですが、フリーランスコンサルタントはさらに年収が上がります。

フリーランスのコンサルタントは年収が高い傾向にある

フリーランスコンサルタントの年収は、ファーム在籍者の2〜3倍になることもあり、大幅に年収が上がることは珍しくありません。

ただし、コンサルティングを行う業界や分野によって年収は変動します。

フリーランスでは1〜3ヶ月程度で契約を更新するケースが多く、パフォーマンス次第では単価が上がりやすい特徴があります。

なお、フリーランスコンサルタントは複数のプロジェクトを1人で並行しつつ、次の案件獲得に向けた営業活動も必要です。

「営業活動にリソースを注ぎすぎて、プロジェクトが疎かになってしまった」といった状況を作らないために、エージェントを活用するコンサルタントは多いです。

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シンクタンクの年収相場 

シンクタンクの年収相場は350〜1,500万円で、経験値やスキルによって2,000万円以上稼ぐ人もいます。

なお、5大シンクタンクの平均年収は以下の通りです。

【5大シンクタンクの平均年収】

企業名平均年収年収相場
野村総合研究所985万円326〜2,300万円
三菱総合研究所859万円420〜1,600万円
三菱UFJリサーチ&コンサルティング925万円420〜2,000万円
日本総合研究所703万円350〜3,200万円
みずほ情報総合研究所691万円300〜1798万円

アカデミック要素の強い分野だからこそ、高度な専門知識や豊富な経験が求められるため、年収も高額です。

自分の強みや特性に適した分野を選ぶことで活躍の場も広がるため、必然的に年収も上がりやすくなります。

では、コンサルタントやシンクタンクでは、具体的にどのようなスキルを持っている人が評価されやすいのでしょうか?

次の章で両者における必要なスキルについて解説します。

コンサルタントとシンクタンクはどんな人が向いている?必要なスキルは?

コンサルタントとシンクタンクはどんな人が向いている?必要なスキルは?

コンサルタントとシンクタンクはビジネスモデルの違いから、求められるスキルにそれぞれ特徴があります。

そこで本章では以下2つの項目に分けて解説します。

  • コンサルタントに向いている人・必要なスキル
  • シンクタンクに向いている人・必要なスキル

両者で求められるスキルの特徴を踏まえつつ、どちらが自分にフィットしているのか参考にしてみてください。

コンサルタントに向いている人・必要なスキル

コンサルタントはクライアント企業の課題解決をサポートする仕事です。

そのため、「クライアントファーストで動ける」コンサルタントは評価も得られやすく、活躍の場も自然と広がります。

また、クライアントの課題を発見するために情報収集を行い、得た情報を基に戦略や改善策を策定・提案する「論理的思考力」が求められます。

幅広い領域を扱うため、「常に学び続ける意欲や向上心・ポジティブ思考」も時には必要になるでしょう。

さらに経営層から現場従業員までヒアリングを行うため、円滑にプロジェクトを進めるための「コミュニケーション能力」も必要です。

【その他、向いている人の特徴や必要スキルの例】

  • 柔軟な発想ができる、固定概念にとらわれない人
  • リーダーシップがある人
  • 結果にこだわる、プロ意識が強い人
  • 知的好奇心が強い人 など

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シンクタンクに向いている人・必要なスキル

シンクタンクはアカデミック要素の強い報告書を作成することから、その分野における「高い専門知識を持った人」が活躍しやすい傾向にあります。

さらにシンクタンクは中・長期で叩くことを前提としているため、「1つの分野をずっと研究できる人」も向いているでしょう。

また、膨大な情報を元に分析や調査を行い、導き出した研究結果をわかりやすく、「論理的にまとめる力」も必要です。

【その他、向いている人の特徴や必要スキルの例】

  • 学習意欲が高い人
  • 特定分野の高度な専門知識を持つ人
  • 文章作成スキルが高い人 など

以上のように、シンクタンクもコンサルタントも求められるスキルに似ている点が多いです。

そのため、シンクタンクからコンサルタントへ転職する方も多く、高い専門性を活かしてフリーコンサルタントとして活躍する方も少なくありません。

さらなるキャリアアップを考えている場合、フリーランスであれば自分の得意分野やライフスタイルに合わせて働くことが可能です。

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自分の得意分野でキャリアアップを目指す方は、ぜひ活用してみてください。

まとめ|コンサルタントとシンクタンクの違いを理解して働くことが重要

コンサルタントとシンクタンクは、「クライアントのサポート」を担うため混同されがちですが、ビジネスモデルや役割が異なります。

自分の得意分野や適性を生かす働き方を選ぶことで、より活躍の場を広げられるため、両者の違いを理解しておくことは重要です。

幅広い領域で企業の経営戦略に関する課題やサポートを行いたい場合はコンサルタント、ひとつの分野で高い専門知識を活かし、政策・教育・環境などの社会課題の解決をサポートしたい場合はシンクタンクが向いています。

転職や独立を考えている方は、本記事の内容を参考に今後のキャリア設計の幅を広げてみてください。

記事監修者の紹介

アメリカの大学を卒業後、株式会社NTTデータに入社。
コンサルティングファームへ転職しデロイトトーマツコンサルティング・楽天での事業開発を経て、取締役COOとして飲食店関連の会社を立ち上げ。
その後、コロニー株式会社を創業。