情報処理安全確保支援士の難易度は?難易度ランキングや勉強時間を解説

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情報処理安全確保支援士試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施している情報処理技術者試験のなかでも、最上位のレベル4(高度区分)に位置づけられる国家試験です。

合格率は20%前後、必要な勉強時間は500時間程度が目安とされており、受験を迷っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、合格率や勉強時間から見た難易度の実態、他の高度試験との比較、応用情報技術者試験との受験優先度、そして過去問を軸にした学習法まで、網羅的に解説します。

ご自身が今受けるべき試験かどうかを判断する材料として、ぜひお役立てください。

情報処理安全確保支援士の難易度と合格率・勉強時間の目安

情報処理安全確保支援士試験は、合格率20%前後・想定勉強時間500時間程度と、IT系国家資格のなかでも最難関クラスに位置する試験です。

まずは難易度を測る指標として、合格率・勉強時間・難易度が高い理由の3点を順に確認していきましょう。

合格率

情報処理安全確保支援士試験の合格率は、近年おおむね20%前後で推移しています。

受験者の多くが応用情報技術者試験の合格者や実務経験のあるエンジニアであることを踏まえると、この数字は5人に1人しか受からない以上の重みを持ちます。

母集団のレベルが高い試験で2割という数字は、記念受験層が一定数含まれる基本情報技術者試験などとは、難しさの質が異なるためです。

なお合格率は試験回ごとに数ポイント上下するため、直近の正確な数値はIPAが公表する統計資料で確認してください。

参考:IPA 独立行政法人 |情報処理推進機構統計情報 | 試験情報

合格に必要な勉強時間

合格に必要な勉強時間は、セキュリティ実務経験のない方で500時間程度が目安とされています。

1日2時間の学習を継続した場合でおよそ8か月、休日にまとめて確保できる方でも半年前後は見ておきたいところです。

一方、応用情報技術者試験に合格済みで午前Ⅰが免除される方や、セキュリティ運用の実務経験がある方であれば、200〜300時間程度で射程に入るケースもあります。

自分の現在地によって必要時間が倍近く変わるため、まずは過去問を1年分解いて実力を測ることをおすすめします。

難易度が高い理由

難易度を押し上げている最大の要因は、午後試験が記述式である点です。

午前試験は四肢択一のため知識の暗記で対応できますが、午後試験は長文のシナリオを読み解き、脆弱性の原因や対策を自分の言葉で説明する力が問われます。

たとえば「この設定のままでは、どのような攻撃が成立するか。40字以内で述べよ」といった問題では、暗号技術・認証・ネットワーク・ログ解析などの知識を横断的に組み合わせる必要があります。

知識のインプットだけでは突破できない構造こそが、この試験を難しいと感じさせる要因です。

参考:IPA 独立行政法人 |情報処理推進機構統計情報 | 試験情報

情報処理安全確保支援士の難易度ランキング

試験区分のなかで情報処理安全確保支援士がどの位置にあるのかを、他区分と並べて確認しておきましょう。

以下は主要な高度試験を、合格率・勉強時間・出題形式の3軸で比較した表です。

試験区分 合格率の目安 勉強時間の目安 出題形式
情報処理安全確保支援士 約20% 約500時間 多肢選択+記述式
データベーススペシャリスト 約17% 約500時間 多肢選択+記述式
エンベデッドシステムスペシャリスト 約17% 約500時間 多肢選択+記述式
ネットワークスペシャリスト 約14% 約500時間 多肢選択+記述式
システムアーキテクト 約15% 約500時間+論述対策 多肢選択+記述式+論述
プロジェクトマネージャ 約14% 約500時間+論述対策 多肢選択+記述式+論述

※合格率は近年の実施回の傾向に基づく目安です。最新値はIPAの統計資料をご確認ください。

難易度ランキングでの位置づけ

数あるIT資格のなかで、情報処理安全確保支援士は上位クラスに位置します。

ITパスポート(レベル1)、基本情報技術者(レベル2)、応用情報技術者(レベル3)と続くIPAのスキルレベル体系において、最上位のレベル4に区分されるためです。

民間資格と比較しても、国家資格であること、そして登録制度を伴う唯一の情報処理系資格であることから、社会的な位置づけは高いといえます。

ただし「レベル4のなかでは最上位」という意味ではない点に注意が必要です。

参考:IPA 独立行政法人 |情報処理推進機構統計情報 | 試験情報

情報処理安全確保支援士と高度試験の難易度比較

同じレベル4のなかで比べると、情報処理安全確保支援士は合格率が最も高い部類に入ります。

ネットワークスペシャリストやプロジェクトマネージャが14%前後であるのに対し、支援士は20%前後を維持しているためです。

また、システムアーキテクトやプロジェクトマネージャなど「論文系」と呼ばれる区分では、2時間で2,000字前後の論述を求められ、対策の負荷が大きく異なります。

支援士の午後試験は記述式ではあるものの、論文の型を身につける必要がない分、対策の見通しは立てやすいといえます。

高度試験の中では合格しやすい区分に該当

以上を踏まえると、情報処理安全確保支援士は高度試験のなかでは比較的挑戦しやすい区分です。

合格率が相対的に高いことに加え、高度区分で唯一、春期・秋期の年2回実施されている点も大きな利点となります。

年1回しか実施されない区分では一度の不合格が1年のロスに直結しますが、支援士なら半年後に再挑戦できるため、学習した知識の鮮度を保ったまま次に活かせます。

高度試験の入門として支援士が選ばれやすいのには、こうした受験機会の多さも理由のひとつです。

参考:IPA 独立行政法人 |情報処理推進機構統計情報 | 試験情報

情報処理安全確保支援士と応用情報技術者試験の受験優先度

応用情報と支援士、どちらから受けるべきかは受験を検討する方が最初に悩むポイントです。

判断材料として、両試験の違いを4つの観点で比較しました。

比較項目 応用情報技術者試験 情報処理安全確保支援士試験
対象レベル レベル3 レベル4
出題範囲 IT全分野を広く浅く セキュリティを中心に狭く深く
合格率の目安 約23〜26% 約20%
出題形式 多肢選択+記述式 多肢選択+記述式
免除制度 合格すると高度試験の午前Ⅰが2年間免除 午前Ⅰ免除の適用を受けて受験可能

応用情報技術者試験との違い

両者の違いは、範囲の広さと求められる深さにあります。

応用情報はマネジメントやストラテジまで含めたIT全般を扱うのに対し、支援士はセキュリティ領域に特化し、暗号・認証・ネットワーク防御などを実務レベルで問います。

たとえば同じ「TLS」という題材でも、応用情報が仕組みの理解を問うのに対し、支援士では証明書の検証手順や設定不備による具体的なリスクまで踏み込みます。

学ぶ順序ではなく、扱う深さが根本的に異なる試験だと捉えてください。

応用情報を先に受けるメリット

セキュリティ実務の経験が浅い方は、応用情報を先に受けるほうが効率的です。

最大の理由は免除制度で、応用情報に合格すると合格発表日から2年間、高度試験および支援士試験の午前Ⅰが免除されます。

午前Ⅰはセキュリティ以外の分野からも幅広く出題されるため、この免除が使えるだけで学習範囲を大きく削減できます。

さらに応用情報でIT全般の土台を固めておくことで、支援士の午後試験で問われる横断的な理解にもつながります。

いきなり情報処理安全確保支援士を受けるべき人

一方で、実務でセキュリティに携わっている方は、支援士から挑戦しても問題ありません。

脆弱性診断、SOC運用、インシデント対応、セキュリティ設計などの経験がある方は、午後試験のシナリオを実感を伴って読み解けるためです。

年2回実施されている点も後押しになります。

仮に初回で届かなくても、半年後に再挑戦できるからです。

自分の実務経験がセキュリティ領域にどれだけ近いかを基準に、受験順序を決めるとよいでしょう。

情報処理安全確保支援士が役に立たない・受かる気がしないとされる理由

検索していると「役に立たない」「受かる気がしない」といったネガティブな評判も目に入ります。

ここでは、その背景を事実ベースで整理したうえで、実際の価値と対処法を確認していきます。

役に立たないと言われる3つの理由

「役に立たない」と言われる理由は、主に3つあります。

それは登録・更新に費用がかかる、独占業務が存在しない、登録が任意であり、合格者の登録率が限られているという点です。

いずれも制度上の事実であり、受験前に把握しておくべき重要な情報です。

登録・更新に費用がかかる

情報処理安全確保支援士は、試験に合格しただけでは名乗ることができず、経済産業省への登録手続きが必要です。

登録には登録免許税9,000円と登録手数料10,700円がかかり、初期費用として約2万円が発生します。

さらに登録後は3年ごとの更新が義務づけられ、毎年のオンライン講習と3年に1回の実践講習(特定講習)を受講しなければなりません。

この講習費用は3年間で合計14万円程度になるため、費用面が負担に感じられるのは無理のないことです。

独占業務が存在しない

もう1つの理由が、支援士には独占業務がない点です。

弁護士や税理士のように、資格がなければ行えない業務が法律で定められておらず、名称独占資格にとどまります。

そのため、資格がなくてもセキュリティの仕事はできるという指摘が生まれ、コストパフォーマンスを疑問視する声につながっています。

それでも取得価値がある理由

一方で、支援士は情報処理技術者試験のなかで唯一の登録制国家資格であり、いわば「情報系の士業」です。

サイバーセキュリティ基本法に基づく制度であるため、専門性を対外的に証明する材料として機能します。

実際、官公庁や大企業の入札要件・提案書において、有資格者の在籍が評価項目となるケースがあり、フリーランスや受託案件では単価交渉の根拠にもなります。

独占業務がない代わりに、信頼性の可視化で効いてくる資格だと理解すると、価値を正しく評価できるはずです。

受かる気がしないと感じる人のつまずきポイント

「受かる気がしない」と感じる方の多くは、午後試験でつまずいています。

午前対策と同じ感覚で知識を詰め込んでも、長文シナリオから設問の意図を読み取る力は身につかないためです。

具体的には、設問が求めている観点(原因なのか対策なのか)を取り違える、字数制限内に要点をまとめられない、といった詰まり方が典型です。

対処の方向はシンプルで、過去問の解答例と自分の答案を突き合わせ、「どの要素が採点上必要だったか」を言語化して蓄積していくことに尽きます。

過去問を活用した情報処理安全確保支援士の勉強の流れ

支援士対策の中心にあるのは、参考書ではなく過去問です。

ここでは、インプットから直前期までの流れを4ステップで整理します。

過去問を使った学習の全体像

学習は、次の順序で進めるのが王道です。

    1. 基礎知識のインプット(1〜2か月):暗号、認証、ネットワーク、マルウェア対策などをテキストで一巡する
    2. 科目A(午前Ⅰ・午前Ⅱ)対策:過去問を反復し、選択肢レベルで即答できる状態にする
    3. 科目B(午後)対策:記述式の過去問を時間を計って解き、解答例と照合する
    4. 直前期の総仕上げ:直近回を本番同様に通しで解き、時間配分を確定させる

なお、過去問題と解答例はIPA公式サイトで無料公開されており、教材費をかけず演習量を確保できます。

参考:IPA 独立行政法人 |情報処理推進機構統計情報 | 試験情報

科目A対策における過去問の反復演習

科目A(午前Ⅰ・午前Ⅱ)は、過去問の反復だけで得点源にできます。

四肢択一形式であり、過去に出題された問題や類題が繰り返し登場する傾向が強いためです。

正答率が9割前後で安定したら科目A対策は切り上げ、残りの時間をすべて午後対策に振り向けるのが効率的です。

科目B対策における記述式の過去問演習

一方、科目B(午後)は「解いて終わり」にせず、答案の分析まで含めて1セットと考えてください。

記述式では、正解を知っているかどうかより、限られた字数で要点を過不足なく表現できるかが問われます。

IPAは解答例に加えて採点講評も公開しており、受験者が誤りやすい観点が明示されています。

自分の答案と解答例・採点講評を突き合わせる作業こそが、午後対策の本体です。

記述問題の解答プロセスの型化

記述問題は、解答手順を型として固定すると安定します。

設問文から「何を答えるべきか」を先に特定し、本文中の根拠箇所に印を付けたうえで、字数に合わせて要素を削るという流れです。

この手順を毎回同じ順序で踏むことで、難問に当たっても書き出せずに固まる事態を避けられます。

型が身につくと、150分という試験時間内で2問を解き切る時間配分にも余裕が生まれます。

直近5年分の出題傾向の把握

演習量の目安としては、直近5年分の過去問を最低2周することをおすすめします。

セキュリティ分野は技術トレンドの影響を受けやすく、クラウド環境、多要素認証、サプライチェーン攻撃など、近年重視される題材が存在するためです。

古い年度ばかりを解いていると、現在の出題傾向と学習内容がずれてしまいます。

まず直近5年を軸に据え、余力があれば過去へ遡る進め方が、限られた学習時間を最大限に活かす方法です。

参考:IPA 独立行政法人 |情報処理推進機構統計情報 | 試験情報

まとめ

情報処理安全確保支援士試験は、合格率20%前後・勉強時間500時間程度を要する難関ですが、高度区分のなかでは合格率が比較的高く、年2回受験できる挑戦しやすい試験でもあります。

午前は過去問の反復、午後は解答例との照合という、正しい学習サイクルを継続すれば、働きながらでも十分に合格を狙えます。

取得した専門性は、案件単価や仕事の選択肢という形で、確実にキャリアに還元されます。

セキュリティスキルを活かして次のステージへ進みたい方は、好待遇の案件を扱うExperty for エキスパートへの登録から始めてみてはいかがでしょうか。

記事監修者の紹介

アメリカの大学を卒業後、株式会社NTTデータに入社。
コンサルティングファームへ転職しデロイトトーマツコンサルティング・楽天での事業開発を経て、取締役COOとして飲食店関連の会社を立ち上げ。
その後、コロニー株式会社を創業。