ネットワークエンジニアのフリーランス単価相場|案件の実態と資格

ネットワークエンジニアは、企業や社会インフラの更改需要に支えられ、フリーランスとしても活躍の場が多い職種です。
一方で「切替作業は夜間ばかり」「結局は常駐になる」といった働き方への不安から、独立に踏み切れない人も少なくありません。
本記事では、公開されている単価データと、コロニーが運営するExpertyで募集中のネットワーク案件をもとに、フリーランスのネットワークエンジニアの実態と、単価を上げるための準備を解説します。
「ネットワークエンジニアのフリーランスは稼げない」は本当か?単価と案件数

「ネットワークは運用保守ばかりで単価が低い」と言われることがありますが、実際の募集を見ると単価の幅は非常に広く、上流の役割を担える人には会社員の給与水準を大きく上回る提示が出ています。
ネットワークエンジニアのフリーランス単価と年収の目安
コロニーが運営するExpertyで2026年10月6日時点に公開されている案件のうち、ネットワーク領域のスキルタグが付いた案件は21件ありました。
21件の月額単価は、下限の中央値が90万円、上限の中央値が129万円で、上限が100万円以上の案件は14件でした。
上限値は60万〜180万円と幅が広く、担当する工程と役割によって単価に大きな開きがあります。
仮に月90万円の案件に1年間参画した場合、売上は1,080万円になりますが、税金・社会保険料・経費を払った後に手元に残るのは、その7割程度と見込んでおくのが安全です。
ただし、ここで集計した案件は設計・構想・プリセールスなど上流寄りのものが多く、運用・監視が中心の案件はこれより低い単価になるのが一般的です。
会社員の年収相場との比較は、別の記事で詳しく解説しています。
ネットワークエンジニアのリモート案件はどのくらいあるか
Expertyのネットワーク案件21件の勤務形態は、一部リモートが14件、常駐が5件、フルリモートが2件でした。
一部リモートまで含めると全体の4分の3で在宅勤務を組み合わせられる一方、フルリモートで完結する案件は限られます。
機器の設置や切替の立ち会いがある案件では出社が前提になるため、設計や構想策定など物理作業の少ない案件ほどリモートで参画しやすくなります。
ネットワークエンジニアのフリーランス案件の実態と具体的案件例

コロニーが運営するExpertyでは、2026年10月6日時点で公開されている案件のうち、ネットワーク領域のスキルタグが付いた案件が21件ありました。
案件名には、通信キャリアのコアネットワーク更改や、電力会社のデータセンター移転に伴うネットワーク構想、自治体・製造業向けのプリセールス支援など、社会インフラに関わる案件が目立ちます。
本文や応募条件にCiscoやCCNPの記載がある案件は、いずれも上限単価が129万〜130万円の設計・構築・提案の案件でした。
ここでは、応募締切が2026年10月7日以降に設定されている案件から、働き方の異なる2件を紹介します。
自動車部品メーカーの情報システム部でネットワークを担う案件
姫路・加西・洲本・徳島などに拠点を持つ自動車部品メーカーで、情報システム部の要員として働く案件です。
従業員からのPCの問い合わせ対応やアカウント管理に加え、ベンダーと連携したネットワーク構成図の作成、LANの配置検討、設備工事の立ち会いを担当します。
月額単価は71万円で、姫路拠点への出社が基本の常駐案件です。
土日に工事の立ち会いが発生する代わりに平日に休みを取れる働き方で、ネットワークの知見と構成図を書いた経験、コミュニケーション力が必須条件とされていました。
設計・構築の大型案件だけでなく、こうした現場の要として幅広く任される案件も、ネットワークエンジニアのフリーランスの選択肢の一つです。
参考:Experty|自動車部品メーカー 情報システム部社員代替
大手食品メーカーのOA環境をゼロトラスト型に刷新する構想案件
大手SIerのエンドクライアントである大手食品メーカーで、社員の端末やOA環境をゼロトラスト型へ刷新する更改の上流を担う案件です。
現行の端末・ID・ネットワーク・セキュリティの整理から、ITロードマップと全体アーキテクチャの検討、ID管理やEDR、SASE/SSEの方式検討、RFPの作成とベンダー選定の支援までを、顧客の前面に立って進めます。
月額単価は92万〜120万円で、基本はリモート、必要に応じて対面での打ち合わせがある働き方です。
OA環境や社内IT基盤の更改で上流工程を経験していることに加え、Microsoft Entra IDやIntune、SASE/SSEなどゼロトラストの構想・設計の知見が必須条件とされていました。
ネットワークの設計経験にセキュリティとIDの知識を重ねることで、構想段階から関われる案件の代表例です。
参考:Experty|大手SIer_大手食品メーカー向けOA環境更改コンサル支援
担当工程でネットワークエンジニアのフリーランス単価はどう違う?

同じネットワークエンジニアでも、運用と設計・構想では月額で倍以上の差がつくことがあります。
| 担当工程 | 主な業務 | 月額単価の目安 |
|---|---|---|
| 運用・監視 | アラート一次対応、定型の設定変更 | 40万〜60万円 |
| 構築・テスト | コンフィグ作成・投入、切替試験 | 60万〜85万円 |
| 設計 | 基本設計・詳細設計、更改計画 | 80万〜110万円 |
| 構想・プリセールス・PM | 方式検討、提案書作成、全体統括 | 110万〜180万円 |
※工程別の単価は案件ごとの差が大きいため、編集部による目安として示しています。
上流工程の水準は、Expertyのネットワーク案件(上限の中央値129万円)を参考にしています。
Expertyで公開されているネットワーク案件を見ても、上限単価が高い案件ほど、設計書や移行手順書を自分で書ける力と、顧客と方式を詰める力が求められていました。
運用保守の経験しかない場合でも、障害の切り分けや設定変更の判断を任された経験は、構築・設計への足がかりとして経歴書に書けます。
ゼロトラスト移行で広がるネットワークエンジニアの上流案件
テレワークやクラウド利用の広がりを受けて、社内ネットワークの境界で守る方式から、利用者と端末ごとに認証して守る方式へ切り替える企業が増えています。
この移行では、VPN装置の撤去やクラウド型のセキュリティサービスの導入、ID管理基盤との連携を一体で設計する必要があり、ネットワーク単体の知識では対応しきれません。
前述の大手食品メーカーのOA環境更改の案件でも、SASE/SSEやID管理の構想・設計の知見が必須条件に挙げられていました。
ネットワークの設計経験にセキュリティとクラウドの知識を上乗せできる人は、構想段階から声がかかる上流案件に参画しやすくなります。
ネットワークエンジニアがフリーランスになる4ステップ

会社員のネットワークエンジニアが、フリーランスとして独立するまでの流れを整理します。
- 経験した工程と機器・規模の棚卸し
- 在職中の設計経験づくり
- 資格による設計力の証明
- 単価の確認と開業準備
ステップ1:経験した工程と扱った機器を棚卸しする
担当した案件を、運用・構築・設計・構想の工程と、扱った機器のメーカー・拠点数・台数で書き出します。
規模が伝わる数字は、フリーランスの面談で最初に確認されるポイントです。
「L3スイッチ20台・30拠点のWAN更改で、詳細設計と移行手順書の作成を担当」のように、規模と担当範囲が一文で伝わる書き方に整えておきましょう。
ステップ2:在職中に設計の経験をつくる
フリーランスの単価は、設計書を自分で書いた経験の有無で大きく変わります。
社内で更改案件があれば、設計レビューや移行手順書の作成に手を挙げ、在職中に実績をつくっておきましょう。
運用保守の部署にいる場合でも、構成変更の影響調査や、障害後の再発防止策の検討に関わると、設計の考え方を実務で身につけられます。
ステップ3:資格で設計力を証明する
CCNAは基本の理解を示す資格として多くの案件で前提になりますが、単価の差につながるのは、CCNPやIPAのネットワークスペシャリストといった設計レベルの資格です。
Expertyで公開されているネットワーク案件でも、上限単価が130万円前後の案件の歓迎条件にCCNPが挙げられていました。
クラウドとの接続を扱う案件を狙うなら、AWSの公式で5年以上のネットワーク経験が推奨されているAWS Certified Advanced Networking – Specialtyも選択肢になります。
参考:IPA|ネットワークスペシャリスト試験
参考:AWS|AWS Certified Advanced Networking – Specialty
ステップ4:単価を確認し、開業の準備を進める
エージェントや案件サイトに登録し、今の経歴で紹介される案件の単価を確認します。
ネットワークの上流案件でどのような経験が求められているかは、Expertyの公開案件の一覧でも確認できます。
独立の手続きでは、開業届と青色申告承認申請書をまとめて提出し、事業用の口座と会計ソフトを参画前にそろえておくと、初月の請求で慌てずに済みます。
「夜間ばかり・常駐ばかり」を避けるための注意点

ネットワークの仕事は、利用者への影響を避けるために、切替作業を業務時間外に行うのが一般的です。
フリーランスになってから後悔しないよう、契約前に次の点を確認しておきましょう。
夜間作業の精算方法を契約で決めておく
夜間の切替作業が月額単価に含まれるのか、別途精算されるのかは、案件によって扱いが異なります。
精算幅を超えた分だけが追加で支払われる契約の場合、夜間作業が多い月でも報酬が変わらないことがあるため、作業の頻度とあわせて書面で確認してください。
物理作業の少ない領域へ経験を広げる
データセンターでの機器設置や現地での立ち会いがある案件では、常駐が前提になります。
クラウドとの接続設計やネットワーク自動化、ゼロトラスト型のセキュリティへの移行など、物理作業の少ない領域の経験を積むと、リモートで参画できる案件が増えていきます。
ネットワークエンジニアの今後の需要については、別の記事でも検証しています。
副業から始める場合は就業規則を確認する
いきなり独立するのが不安な場合は、就業規則で副業が許可されているかを確認したうえで、設計レビューなど短時間で完結する案件から始める方法もあります。
まとめ

Expertyで公開されているネットワーク案件の月額単価は、下限の中央値で90万円、上限の中央値で129万円でした。
運用保守にとどまると単価は伸びにくい一方、設計や構想策定、広域ネットワークの更改を担えると、月120万円を超える案件も現実的になります。
Expertyで公開されている案件を見ても、通信キャリアや電力会社のような社会インフラの大型案件ほど、設計からテストまでを一人で進められる人材が求められていました。
在職中に設計の経験をつくり、CCNPやネットワークスペシャリストで設計力を示せる状態にしておくと、独立後の単価交渉で有利に立てます。
コロニーが運営するExpertyでは、コアネットワークの更改やネットワーク構想策定など、ネットワーク領域の上流案件を公開しています。
まずは、今の自分の経験が市場でどう評価されるのか、Expertyに登録して案件の条件を確認するところから始めてみてください。

記事監修者の紹介
アメリカの大学を卒業後、株式会社NTTデータに入社。
コンサルティングファームへ転職しデロイトトーマツコンサルティング・楽天での事業開発を経て、取締役COOとして飲食店関連の会社を立ち上げ。
その後、コロニー株式会社を創業。