クラウドエンジニアのフリーランス単価相場|移行・IaC案件と資格

オンプレミスのシステムをクラウドへ移す流れが定着し、クラウドエンジニアはインフラ系のフリーランスの中でも単価が上がりやすい職種になりました。
ただし、移行の構想を描く人、Terraformで環境をコード化する人、セキュリティの観点から評価する人など、同じ「クラウドエンジニア」でも案件の中身はさまざまです。
本記事では、公開されている単価データと、コロニーが運営するExpertyで公開中のクラウド関連案件をもとに、フリーランスのクラウドエンジニアの実態と、AWS・Azure・Google Cloudで異なる案件の傾向、独立の手順を解説します。
AWSに特化した単価や資格の詳細は、AWSのフリーランス記事で個別に扱っています。
「クラウドエンジニアのフリーランスは飽和している」は本当か?単価と需要

クラウドの資格を持つ人が増え、「もう飽和しているのでは」と心配する声もありますが、実際の募集と公的統計を見る限り、需要と単価は高い水準を保っています。
クラウドエンジニアのフリーランス単価と年収の目安
コロニーが運営するExpertyで2026年10月6日時点に公開されている案件のうち、クラウド領域のスキルタグが付いた案件は15件ありました。
15件の月額単価は、下限の中央値が97万円、上限の中央値が129万円で、15件中13件で上限が100万円以上でした。
インフラ領域全体(48件)の下限の中央値90万円と比べると、クラウドのスキルが加わることで単価の水準が一段上がっています。
下限の97万円で12か月稼働すると売上は1,164万円で、税金・社会保険料・経費を差し引いた手取りは売上の7割前後が目安です。
企業のクラウド利用は8割を超えた
総務省の令和7年通信利用動向調査では、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は83.5%、全社的に利用している企業は60.0%でした。
利用する理由として「システムの拡張性が高いから」を挙げる企業が前年から6.8ポイント増えており、使い始める段階から、使いこなす段階へと企業の関心が移っていることがうかがえます。
移行を終えた企業でも、運用の自動化やコストの見直し、セキュリティの評価といった次の課題が生まれるため、クラウドエンジニアの仕事は移行で終わりません。
クラウドエンジニアのフリーランス案件の実態と具体的案件例

コロニーが運営するExpertyでは、2026年10月6日時点で公開されている案件のうち、クラウド領域のスキルタグが付いた案件が15件ありました。
15件の月額単価の上限値は80万〜180万円に分布しています。
案件本文や応募条件でクラウドの名前を確認すると、AWSの記載がある案件が20件、Azureが14件、Google Cloudが6件、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)が5件でした。
AWSが最も多い一方で、AzureやOCIを前提にした案件も一定数あり、複数のクラウドを理解していることが強みになる市場です。
IaCの案件では、AWS向けに整備された標準環境のテンプレートをOCI版に展開する実装支援など、複数のクラウドを読み書きできる人を求める募集も見られました。
ここでは、応募締切が2026年10月7日以降に設定されている案件から、クラウドの知識を上流の評価・提案に活かす1件を紹介します。
クラウドを含むセキュリティ対策を評価・提案する案件
大手NIerのセキュリティコンサルティングで、顧客のセキュリティ対策の現状評価やロードマップの策定、規程類の整備を支援する案件です。
NIST CSFなどのフレームワークを使ったアセスメントに加えて、ID管理・ネットワーク・クラウド・エンドポイント・ログ監視といった技術的な対策の課題整理も業務に含まれます。
月額単価は92万〜110万円で、稼働率80%から相談でき、リモート中心で打ち合わせに応じて都内へ出社する働き方です。
尚可条件には、AWS・Azure・Google Cloudのクラウドセキュリティの知識や、ゼロトラスト関連の知識が挙げられていました。
クラウドの構築経験をセキュリティの評価に活かすと、構築案件とは異なる上流の役割に参画できることが分かる例です。
参考:Experty|大手Nier_SCSアセスメント・規定類実装
クラウドエンジニアの単価を押し上げる役割
Expertyのクラウド関連案件の上限単価を見ると、構築の実務だけを担う案件より、移行の構想や基盤の標準化、セキュリティの評価といった役割を含む案件のほうが高い傾向がありました。
クラウドの設定ができることは前提で、そのうえで「なぜこの構成にするのか」「移行後の運用とコストをどう管理するのか」を顧客に説明できるかどうかが、単価の差になります。
構築の経験を積んだ段階で、設計書の作成や移行計画の立案、コストの見積もりに関わる機会を意識してつかみにいきましょう。
AWS・Azure・Google Cloudでクラウドエンジニアの案件はどう違う?

どのクラウドを扱えるかによって、参画しやすい業界や案件の性質が変わります。
| クラウド | 案件が多い業界・場面 | 求められやすいスキル | 代表的な資格 |
|---|---|---|---|
| AWS | Web系企業・事業会社全般 SIerの移行案件 |
EC2・VPC・コンテナ・サーバーレス | AWS認定(SAA・SAPなど) |
| Microsoft Azure | Microsoft 365を使う大企業 官公庁・製造業 |
Entra ID連携・Windows環境の移行 | AZ-104/AZ-305 |
| Google Cloud | データ分析基盤を持つ企業 | BigQuery・GKE | Professional Cloud Architect |
| OCI | Oracle製品を使う基幹系 通信・金融の共通基盤 |
既存Oracle環境の移行・IaC | OCI関連の認定資格 |
※案件の傾向は、Expertyの公開案件と各クラウドの公式情報をもとに編集部で整理したものです。
Expertyの公開案件でもAWSの記載が20件と最も多く、まずはAWSで経験を積むのが選択肢を広げやすい進め方です。
一方で、Microsoft 365やActive Directoryを使っている大企業や官公庁では、既存のID基盤との連携を理由にAzureが選ばれることが多く、Azureの経験者は競合が少ない分、指名されやすい面があります。
OCIは案件数こそ少ないものの、Expertyの公開案件ではIaCや移行構想の案件に登場しており、AWSでの経験を応用できる人には狙い目の領域です。
オンプレ経験者がクラウドエンジニアのフリーランスになる4ステップ

ネットワークやサーバーの経験を持つ人が、クラウドエンジニアとして独立するまでの流れを整理します。
未経験からいきなりフリーランスの案件を受けるのは難しいため、まずは会社員としてインフラの実務を経験していることが前提です。
- オンプレの経験の棚卸し
- 主に扱うクラウドの決定と学習
- Terraformによるコード化の実践
- 単価の確認と独立準備
ステップ1:オンプレで経験した工程を棚卸しする
これまでに担当したネットワーク・サーバー・データベースの構築や運用を、工程と規模ごとに書き出します。
移行案件では既存環境の理解が求められるため、オンプレの経験は「クラウドの経験が浅い」弱みを補う材料になります。
ステップ2:主に扱うクラウドを1つ決めて学ぶ
最初から複数のクラウドを並行して学ぶより、案件数の多いAWSか、勤務先や得意な業界で使われているAzureのどちらかに絞るほうが、短期間で実務レベルに届きます。
Azureなら運用管理のAZ-104、設計のAZ-305、Google CloudならProfessional Cloud Architect(試験時間2時間、登録料200ドル・税別、業界経験3年以上を推奨)が代表的な資格です。
参考:Microsoft Learn|Azureソリューションアーキテクト エキスパート
参考:Google Cloud|Professional Cloud Architect認定資格
ステップ3:Terraformで環境をコード化してみる
クラウドの案件では、手作業での構築よりも、同じ環境をコードで何度でも再現できることが評価されます。
自分で構築した検証環境をTerraformで書き直し、コードとして説明できる状態にしておくと、面談で具体的な話ができます。
HashiCorpはTerraformの認定資格も提供しており、IaCの基本理解を示す材料になります。
ステップ4:単価の水準を確認して独立の準備を進める
エージェントや案件サイトに登録し、今の経歴でどの単価の案件が紹介されるかを確かめます。
クラウドの上流案件でどのような経験が求められているかは、Expertyの公開案件の一覧でも確認できます。
税務の手続きとしては、開業届と青色申告承認申請書を出し、仕事用の銀行口座を分けておくところまでを、最初の案件が始まる前に終えておきましょう。
「クラウドの案件は危ない」と言われないための注意点

クラウドの案件には、オンプレの案件にはない注意点があります。
権限と責任の範囲を契約前に決めておく
クラウドの管理画面では、一つの操作で本番環境に大きな影響を与えられます。
どこまでの権限を付与されるのか、誤操作による障害が起きたときの扱いをどうするのかを、参画前に確認しておきましょう。
利用料が膨らむリスクを意識する
検証用に作った環境の削除漏れや、想定外のデータ転送によって、利用料が急に増えることがあります。
FinOps Foundationは、FinOpsを「エンジニアリング・財務・事業の各チームの協働によって、テクノロジーの事業価値を最大化し、データに基づく迅速な意思決定と費用への責任を生み出す運用の枠組みと文化」と説明しています。
費用の監視とアラートの設定を参画直後に確認するなど、費用まで意識して動けるクラウドエンジニアは、顧客から長く頼られます。
参考:FinOps Foundation|What is FinOps?
オンプレの知識を手放さない
クラウドの案件でも、専用線やVPNでの接続、既存システムとの連携など、オンプレの知識が問われる場面は多くあります。
クラウドだけに詳しい人より、オンプレとクラウドの両方を説明できる人のほうが、移行案件では評価が高くなります。
まとめ

Expertyで公開されているクラウド案件の月額単価は、下限の中央値で97万円、上限の中央値で129万円と、インフラ系の中でも高い水準でした。
Expertyで公開されている案件を見ても、IaCによる複数クラウドへの展開や、クラウドを含むセキュリティの評価など、構築の先にある役割を担える人ほど高い単価が提示されていました。
オンプレの経験がある人は、それを強みとして残したまま、主に扱うクラウドを1つ決めて、資格とTerraformでの実践を積むところから始めましょう。
コロニーが運営するExpertyでは、クラウド移行の構想やIaCの実装、クラウドセキュリティなど、上流寄りのクラウド案件を公開しています。
まずは、今の自分の経験が市場でどう評価されるのか、Expertyに登録して案件の条件を確認するところから始めてみてください。

記事監修者の紹介
アメリカの大学を卒業後、株式会社NTTデータに入社。
コンサルティングファームへ転職しデロイトトーマツコンサルティング・楽天での事業開発を経て、取締役COOとして飲食店関連の会社を立ち上げ。
その後、コロニー株式会社を創業。